内視鏡室への異動を希望する看護師ならば、内視鏡基礎知識である前処置の咽頭麻酔について知っておくとよいでしょう。咽頭麻酔は、口から内視鏡を挿入する際に、内視鏡がのどを通過するときの違和感、苦痛を軽減する目的で行います。一般的に、咽頭麻酔に使われる薬剤はリドカイン(キシロカイン)です。咽頭麻酔により、ショック反応(徐脈、不整脈、血圧低下や呼吸抑止、およびチアノーゼなど)を引き起こしたり、意識障害やけいれん、さらに蕁麻疹などの皮膚症状、嘔吐や悪心などの副作用が起こることがあるので、使用時には注意して観察する必要があります。ショック状態になった場合は、迅速に対応しなければなりません。咽頭麻酔の際には注意しなければならないことが他にもあります。麻酔部位に傷や炎症があると、薬剤の吸収が早まることがあるので注意して観察しましょう。使用方法は、麻酔薬剤を咽頭にためるか、噴霧式の麻酔剤の場合は咽頭にスプレーします。ショック状態や中毒のリスクを回避するため、使用量は200mg(スプレーの場合は25回噴射)を超えてはいけません。患者にリドカインアレルギーがある場合は、刺激性のない水溶性の潤滑剤、スループロゼリーを使用できます。容易に洗い流すことができ使用しやすいです。内視鏡前処置の咽頭麻酔による偶発症数は、調査を行った5年間で38件報告されています。前処置に伴う偶発症の発生率は、年々減少してはいますが、それでもやはり注意が必要です。
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